地政学   オリンピックで「狂気」がきけるとは

 ロンドンオリンピックの開会式・閉会式は、非常に面白く、皮肉たっぷりで、イギリスの長い歴史が感じられた。格差社会という現実も、あからさまに世界へ見せてしまって、恥じないところが大人だと思った。クラッシュの「ロンドンで暴動が起きてますよ」という歌詞内容の「ロンドン・コーリング」が使わていたり、王室をメチャクチャ貶すセックス・ピストル「コッド・セイブ・ザ・クイーン」が使われていたり、と見るものの想像力に訴えかけるものが多かった。

  ご存知のように、大英帝国の繁栄は、貿易力によるものである。
 ビートルズの生まれた町リヴァプールは、18世紀頃より、貿易で栄えた港町であった。そこを拠点に、産業革命で作られた製品や武器を、船に乗せて海外へ輸出した。行き先はさまざまだが、その取引先の一つに、アフリカがある。アフリカでは、主導権争いしている部族に武器を売る。そして、その部族が捕まえた人質を代金としてうけとり、アメリカなどへ運んでいき奴隷として売りさばき、そしてトウモロコシなどを積んでイギリスへ戻っていく。もちろん、こんな単純なものではないが、こういう図式の上に、アフリカ、アジアなどは植民地化され、大英帝国は築かれていったのである。
 その大英帝国の取引先の一つとして、中国がある。中国は、イギリスから買いたいものがほとんどなかった。イギリスは、そこで、インドで栽培したアヘンを売ることにした。それがアヘン戦争へつながっていくのである。

 アメリカの海軍士官で、マハーンという人物がいた。彼は、イギリスの繁栄の理由を研究し、海の支配権こそ、大英帝国の土台であることを見抜いた。「海洋型地政学」の誕生である。
 「海洋型地政学」と対をなすもので「大陸型地政学」というものがある。ナチスのヒトラーは、ハートランドを支配するものがヨーロッパを制するという考えで、フランスやポーランドなどを支配下に置こうとした。「大陸型地政学」である。

 モンロー主義を捨て、第二次世界大戦後、海洋国家アメリカは、「海洋型地政学」をとっている。
 
 地政学は、あくまでも戦争の学問の要素が強い。いま、話題となっている尖閣諸島、竹島問題も、この地政学的な観点から考え出し、国益という考え方をしだすと、どうしてもたどり着いてしまう答えは一つになる。軍隊で守るという発想だ。人類が、戦争をなくそうとして、なくせない理由はここにある。
 これが単なる島の問題ではなく、二百海里という排他的経済区域の問題が出てきて、さらに、そこを艦隊が通れるかどうかという問題になっていく。

 中国に味方するつもりはない。が、中国が軍事大国化しているというが、一度、中国の視点から、物事を考えてもらいたい。アメリカ軍事同盟国に、海への出口をふたをするように、取り囲まれているのである。いつでもミサイル攻撃され、いつでもアメリカが誇る海兵隊がオスプレスで、中国上陸作戦ができる体勢をとられているのである。だから戦争はしたくなくても、相手を圧倒する武力が欲しくなる。
 逆に、アメリカの視点から考えると、太平洋のシーレーンは、中国の大国化・海軍の増強によって、脅かされているように思えてしまう。だから戦争はしたくなくても、相手を圧倒する武力が欲しくなる。
 地政学的視点だと、結局は、こんな考え方になってしまうのだ。
 
 しかし、現実は、もっと複雑化していて、アメリカに本社のあるアップルやナイキが、製品を中国で作っていたりするのだ。他の会社も同じだ。政治家は、アメリカとか、中国とかの国にこだわっているが、経済活動は、グローバル化がすすみ、国境などなくなっているのだ。

 ジョン・レノンの「イマジン」ではないが、経済活動では、「国境などないと思ってごらん」は、すでに、半分、実現している。ただし、それが、「ウイン」「ウイン」の関係にならずに、ガルトゥングがいう「遠いところから搾取する」の搾取する側、搾取される側となっていることが問題なのだが。多国籍企業が稼いだお金は、本国にもいない。タックスフリーの国に集まり、どこがどうなっているのかわからない状態になっている。

 日本がとる態度は、第二次世界大戦前も、大戦後も、今も対して変わっていない。アメリカという大国と、中国という大国(以前はソ連だったが)の狭間にある。引っ越しはできない。
 いろいろな意見はあるが、だいたい、次の四つに分かれている。

(1)アメリカとの軍事同盟を継続させる。
(2)アメリカと別れ、中国と軍事同盟を結ぶ。
(3)スイスのように永世中立国となり、スイス同様に軍隊をもつ。
(4)コスタリカのように、軍隊をなくしてしまう。

 私としては、(4)が理想であるが、すぐに、そんなことが可能とは思っていない。
 いくつもの手順を踏まなくてはならないだろう。その一つとして、日本が世界に誇れる憲法「戦争放棄」を、日本の周辺国に、同じ条文を盛り込むように、辛抱強く呼びかけることだろう。
 まずは韓国。北朝鮮問題を抱えているのでうまくいくとは思えないが、少なくても、日韓間では、どんな問題が起きても、軍隊を国境は超えさせないという信頼関係を作っていくことである。
 それと同時に、先に触れた外交官。問題があるたびに呼びつけて、抗議するというのではなく、韓国の外交官を日本の外務省で働かせる。逆に、日本の外交官を韓国の政府で使ってもらう、というような交流が大切になってくるだろう。
 それと、あくまでも、フィクションとしての歴史ではなく、史実としての歴史をほりさげる努力を、共同でしていくべきだろう。たとえば、日本人も、韓国の詩人「ユン・ドンジュ」の詩を、教科書で取り上げたりしていく努力をすべきだ。

 嫌韓とかいってないで、日韓友好へ、日本は舵取りしていくべきなのである。

 オリンピックを見ていて、日本のメダルへの執着には、うんざりさせられた。愛国心を鼓舞するするよりも、世界市民として、オリンピックは楽しむべきだろう。
 批難が続出した閉会式のNHKのアナウンサー。やたらとメダルのことばかり話していたような印象がある。世界の何番目に、メダルが多かったなんかは、どうでもいいことなのだ。
 「参加することに意義がある」というオリンピック精神はもどこへいってしまったのか。
 
 とくに、ピンク・フロイド好きのわたしとしては、「うおー」となる場面が三カ所ほどあった。世界には、同じ趣味を持つ人がいるらしく、検索をかけてみたら、3つとも動画がアップされていたので、自分の記録用に、ここに貼付ける。

 独特のタイムキープ感のニック・メイソン。アルバム「炎」の燃え上がる人が、綱渡りの後に再現されます。「あなたがここにいてほしい」と、意味深な曲を選択したものだ。



若いアスリートたちが点火した聖火の花が閉じてゆき、一つの花のようになっていくシーン。まるで、世界連邦を連想してしまいました。アルバム「狂気」のラストの曲。


触れるものすべて 見るものすべて
味わうものすべて 感じることすべて
愛するものすべて 憎むものすべて
信用しないものすべて 大切にするものすべて
与えるものすべて 取り引きするものすべて
買うものすべて 請い願うものすべて
借りるものすべて 盗むものすべて
創造するものすべて 壊すものすべて
為すことすべて 言うことすべて
食べるものすべて 会う人すべて
軽蔑するものすべて 戦う相手すべて
現在(いま)あるものすべて 
過ぎ去ったものすべて
来たるべきものすべて
すべては太陽の下 調和を保っている
しかし太陽は 月に侵蝕されてゆく...
(グーグルで検索したら、こんな和訳が出てきました)


ピンクのブタといえば、資本主義の病理を皮肉ったアルバム「アニマルズ」。「狂気」のタイムも出てきます。

 

 

 
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by spanky2011th | 2012-08-22 21:03 | 世相 妄想随談(音楽付き)