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不気味な国ニッポン

 東電の株主総会のニュースを見て

 東電の荒れに荒れた株主総会のニュースをテレビで見ていて、素朴に「あれっ?」と、疑問を持ったところがあった。株主の一部から出された「脱原発動議」が、圧倒的な反対多数で否決されたことだ。
 その反対多数というのも、本当の反対多数ではなく、銀行関係などの大株主が反対票を投じたせいであった。私たちの命が、だれのだれともわからない人たちによって、左右されている。不気味だ。
 そのような重大な問題は、イタリアが行ったような国民投票によって決められるべき問題であって、株主総会で、一部の人たちの利益保全のために決められるべき問題ではないはずだ。
 以前、NHKで「日本はなぜ戦争に突入したのか」でやっていたように、日本の意思決定の道筋はどうもはっきりしない。
 いまの官僚制の原型を作ったと言われる山県有朋。彼は、自分の藩の人間(つまり、自分の息のかかった人間)を官僚組織に送り込み、司法・行政・立法の三権分立によって運営されるべき国政を、裏から影響を与え、左右した。
 山県有朋は死んでも、そのときに残した組織的遺産が日本の将来をだめにしてしまっているように思える。有象無象の、自分たちの利益を最優先させる人々が、その組織に群がり、将来の展望もないまま、責任を取ることもなく、日本を動かしている。
 「脱原発動議」に反対票を投じた銀行関係などの大株主は、「原子力発電がなければ、日本の経済が立ち行かなくなる」という美名の元、反対票を投じたというだろうが、本当は自分たちの銀行の利益を慮っていたのではないだろうか。

 西洋では、現在は利益を上げていても、将来的にマイナスが出ることを考えての報償制が当たり前になってきている。
 カルロス・ゴーンの年収が日本一高いと報道され、「取り過ぎだ。」「けしからん。」という声を耳にするが、問題はそんなところにあるのではない。いってはなんだが、彼ですら、雇われ経営者にすぎず、会社を儲かる組織にし、株主に高配当をもたらさなかったら、くびを切られる存在なのである。
 たとえ彼個人が、より多くの従業員により多くの給料を与え、関係会社の多くに豊かになってもらいたい、と思っていても、それが出来ないシステムになっているのだ。彼は、非情なコストカッターとして、生きていかざるを得ないのだ。

 古くなって、あちこちに弊害をもたらしている今の日本のシステム。
 たとえば、社長の報償も、

従業員の数×平均給与×0.001 

というようなルールを導入するべきときではないだろうか。株主の配当も同じようにしなくてはいけない。

「他人の不幸の上に自分の幸せを築いては行けない」

という有名な言葉がある。
 いま、お金を稼いでいる人たちの多くが、実は、「他人の不幸の上に自分の幸せを築いて」いる人たちのように思えてならない。

 福島で内部被爆した子どもたちが出た。「脱原発動議」に反対票を投じた大株主はきっと、これは会社の判断であって、私の判断ではないというだろう。これは経済界の要望であって、私の判断ではない、ともいうだろう。
 不気味だ。

by spanky2011th | 2011-07-02 19:27 | 世相 妄想随談